2015年4月27日月曜日

いなかのくらし好評発売中

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吉賀町出身のともさんが描いた絵

          と

津和野町出身のとよさんがことばをつけた

吉賀町津和野町のむかしの暮らしについての本です。

とも&とよが創ったこの本を読むと

年配の方は懐かしく想い、

こどもは昔の暮らしに興味を持つこと請け合いです。


税込み価格1000円で販売中です。
http://tsuwano-kanko.net/info/%E3%80%90%E3%81%A8%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%82%E8%BA%AB%E8%BF%91%E3%81%AA%E8%A8%98%E6%86%B6%E9%81%BA%E7%94%A3%E3%80%91%E7%B5%B5%E6%9C%AC%E3%80%8C%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%AE%E3%81%8F%E3%82%89/



この本には載っていませんが、ぼくのおじいちゃんの弟が書いた

話を少し紹介します。


 一月末には雪がずっしり深く降った。そうしてある時、天も暗むばかりに牡丹雪の様な大きなのが一日中はげしく降りつづけることがあった。
「えらい時化(しけ)が熊でも獲れたのかな、と年寄りたちは言った。熊が取れる時はひどく雪が降るといふ言ひ伝えが何時頃からともなく残っていた。そうしている中にはたして、熊が獲れたそうなといふ知らせが雪にとざされた家々につたはってくるのだった。
毎年、一つ二つと獲る[1]熊取の名人の爺さんは町より少し離れた部落に住んでいたが或る時僕達は話をきいて熊を見にいった。みると土間に小牛の様なまっ黒い熊がごろりところがしてあった。炉のほとりでは大人が大声で話しこんでいる。此処から一里ばかりも渓深く入った山の中では里の人がよく熊に出逢ったとかいふ話をきいた。雪のまだふらない林の中で木の実を探しつつ メリッ メリッ と音をたてていたとか、学校から帰る友達が皆んな待ちあって一緒に帰ってゆくのは熊に出逢わぬようにするのだともきいた。その熊がこんなにまっ黒いものだとは思はなかった。
熊取り爺さんの小母さんは[2]相撲取のような大きな身体をしていたが、その小母さんが出てきて僕等の名前を一々きいて廻った。
「ほう。これがつる屋の[3]孫しかいのを」といひ(なが)ら僕と兄とをみくらべて「まあ、おばあさんによう似ちよって、ちゆうたら」といって僕の頭をなでた。
爺さんは何時か小熊を三つ獲ってきたことがあるが近所の小母さんの乳で育てている中、広島の方へ売ってしまったこともあった。




[1] 林のおじいさん。
[2] 原本では「角力取」と書いてある。
[3] 孫しとはこの辺りの言葉で孫より丁寧な表現である。

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