この山の中には高速道路のトンネルが通っています。
亀の形に似ていることから亀山と呼ばれています。
たしかに亀の甲羅みたいだと思います。
ここに次は何が建設されるのでしょう。
国道に繋がる道ができると便利だという声をよくききます。
糟谷茂男の弟、篤二の昔の話第18話を載せます。
六、うなぎ籠
竹で編んだ鰻籠にみみずを一杯入れてそれに草をつめこみ鰻が上りそうな川の流れに這り口を下にして漬けた。鰻は夜になるとみみずの匂ひを嗅いで穴から出て流れをのぼり籠の中へ入った。入った鰻は外へ逃げられないように口のところが内側へササラの様になっていた。夏の夕方になると友達をさそってうなぎ籠をかついで川へいった。入る入らぬは漬け工合によるので、口の処は特に大事にして苔石でうまく口をつくった。そうして籠が流れぬように石をかぶせて帰ってきた。僕は水を泳ぐことが出来ぬので籠をつけることが出来なかったが兄達は背丈以上の深い水にもぐって漬けた。深いだけ鰻は大きいのが獲れた。そうして漬けてかえってから夕飯を食べていると父が「そーら、鰻がのぼりはじめたぞ」といった。兄も僕も鰻ののぼる様が目にみえて、みぢかい夏の夜の夢をむすんだ。あくる朝は早く飛起きて稲の中の小道を川へ急いだ。裾やぞうりを稲の露にぬらしつつ爽やかな心持になっていった。籠を引張りあげて竪にふるとどさりといって何ともいへぬ張り満ちた気持ちになった。鰻が入っていると手應があった。そうすると河原をかけあがって逃げる恐れのないところで籠の中の音をきいた。グ‥‥‥と鳴く声がした。入り口をみるとササラがねっとりと鰻の油をつけていた。二人は駆けて家へ帰り「オ~イ。入ったぞ入ったぞ」と大さわぎをした。胡瓜の花のさいている庭先でそれを桶に入れた。
鰻にはゴマを吹いた様なゴマ鰻もいた。耳のはいているような大鰻もいた。時には小さいのがそろって二つ入っていることもあった。時たまかにやぼんこつが入っていてくやしまぎれに道に叩きつけたりしたこともあった。
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