2016年10月13日木曜日

注目の新刊



「100歳の精神科医が見つけたこころの匙加減」

「ありのままに、ひたむきに 不安な今を生きる」

入荷しました。

「ぜんぜん、はじめてです。 広瀬すずフォトブック」

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糟谷茂男の弟、篤二の昔の話第35話を載せます。



                    杉の実鉄砲
 秋の祭りには杉の木に小さい粒の実がなった。私の家の隣は登記所(とうきしょ)だったがその登記所の周囲は杉の木を刈りこんで四角い垣がしてあった。その杉の木の垣にもところどころに実がなった。私達は遊ぶことがなくなると裏の山へいって(ささ)で「つき出し鉄砲」をつくった。砲身の篠は杉の実が入る位であるから極小さいものだ。長を五六寸位にした。砲身の中をもう一本篠がとほってそれが杉の実をつき出した。私達は杉の実をぽけっとに一ぱい入れてまづ砲身に始めの粒を入れ、それからもう一つ入れてつき出した。砲身の中は初めの粒と後の粒とで空気が圧縮されてその勢ひで初めの粒がピチッととび出した。青くさい杉の実を何回となくこめて空へ放ったり、打ちあいこしたりした。
そのピチッ!といふ音はくさい杉の実の匂ひとともに忘れられない。

ポケットの中の杉の実は三日も四日も忘れられていて夜寝るときに畳の上にこぼれ出たりした。

其の他
 三椏(みつまた)の木でパチンコをつくったり、どんぐりの実の中を繰り抜いて笛をつくったり雌竹を割って高く透きとほる笛をつくったりした。

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